報酬の未払い対策

最近ではWebコンテンツの定期更新なども増えているようですが、まだまだ在宅ワークの多くは単発的な仕事です。コンサルティングやWeb制作、プログラミングといった「長期戦」となる仕事でなければ、場合によって即日で終わる場合もあるでしょう。仕事が終われば規定に則って報酬を受取るわけですが、ここで注意が必要になります。

実態として、在宅ワークにおいては金銭トラブルが多発しています。
簡単に言ってしまえば、

「報酬の未払い」

です。

下請法など規制法規はあるものの、このトラブルは非常に多いのが実情です。未払いまでならなくとも、事後になって報酬の減額を交渉されるケースなど、残念ながら少なくありません。当社パートナーの中にも、過去にこうした報酬トラブルに遭ったという方が多くいらっしゃいます。

自分の身1つで稼ぐフリーランスワーカーにとって、これは由々しき事態です。会社から固定給与を受けて働いているわけではないフリーランスは、日々の仕事に対する報酬によって生活しています。その報酬が得られなければ、場合によって生活そのものに支障を与えるでしょう。

そのため悲しい実態ですが、

 

全ての企業・事業主様が優良ではない

 

ということは、自己の責任において認識しておくことが大切です。

しかし何も、そんな環境において常に泣き寝入りしている必要はありません。今回は、そうしたトラブルを回避するためにできる“最低限の対策”を3つご紹介しておきます。

1)連絡先の確認

依頼を受ける前に、最低限以下のような情報は確認しておきましょう。

  • 企業名(あるいは屋号名、個人名)
  • 住所
  • 電話
  • メールアドレス

メールは実際に送って、エラーリターンが起きないか確認すると安心です。ただし、特に相手が個人の場合、メールがフリーメール(Google,Yahoo! など)となっていることがあります。こうした際は、要注意です。フリーメールは簡単に削除・作成ができるので、連絡が取れなくなる可能性が高くなります。


また、出来れば一度挨拶がてら電話をかけて、繋がることを確認しておきましょう。メールと電話の両方が不通になっては、何かあったときに連絡を取る手段がなくなります。

2)オンラインでの受注時は募集要件を記録しておく

インターネットを活用すれば、オンラインで仕事を受注することが出来る時代です。募集サイトはもちろん、クラウドソーシングなどを利用する方は少なくないでしょう。

 

しかし、いくらWebサイト上に掲載された案件に応募してそれを受注したとしても、安心してはいけません。必ず応募時の募集要件を記録しておきましょう。具体的には、以下のような方法が挙げられます。

  • 募集画面をキャプチャ保存しておく
  • 応募時のメール(もしくはメッセージ)文中に募集要件をコピペし、確認を促しておく
  • 別途書面にて依頼書を発行してもらう

中でも「業務内容」「報酬規定(金額・サイト)」「仕様」などは、確認すべき必須事項です。

 

なぜ、こんな面倒なことをしなければならないのか?

 

それは、サイト上の情報が掲載者側で自由に削除・改変できる場合が多いからです。

例えば仕事を終えてから支払われた金額が異なり、確認しようとしてもすでにサイト上から募集掲載が消えている。あるいは仕様が書き換えられており、想定していない修正を迫られるなど・・・。もしそういった事態になっても、確認・証明できる情報がなければ、何もできなくなってしまいます。

3)契約書を締結する

通常、企業に対し業務委託を出す場合には、委託(基本)契約書を交わします。これは機密事項・個人情報の保護指針や報酬支払に関する規定、損害賠償についてなど、取引をおこなう上で重要な項目が記載された書類です。

 

しかしフリーランスワークにおいては、この契約締結が行われない場合が多くあります。その理由としては、

  • 個人相手のため、企業間取引と比較して軽視されている
  • 単発的委託のため、都度ワーカーと個別に契約を交わすことを手間と考えている
  • 企業側も「やり取り上の信頼だけで十分」と考えている

といった点が考えられるでしょう。

特に依頼元が個人であるケースも多く見られますが、そうした場合、そもそも契約締結という認識・ノウハウを持っていないこともあるのです。企業であっても、外部委託が初めての場合、契約書を用意していない場合もあります。

しかし、そのまま業務を進めていた際、万が一トラブルが発生したたどうでしょう?

 

例えば契約書に「遅延なく支払を行う」と記載され、「契約に反した場合には損害賠償を」といった内容も合わせて記載されていたとします。依頼元から報酬の支払いが得られない際、この契約書は相手に責任を問うための重要な根拠となります。実際、もし裁判など大事になった場合、こうした確かな根拠がなければ、裁判所すら取り合ってくれないのです。
もちろん契約がなくとも、支払を行う義務は依頼元にあるでしょう。しかし、相手に言い逃れするためのスキを与える事になりかねません。もしフリーランスとして働くことに不慣れであれば、巧みな話術によって簡単に言いくるめられてしまう可能性もあります。

例えば、1通のメールマガジン作成に契約書を交わす・・・ということは、確かに面倒かもしれません。どうしても契約書の発行が困難な場合であれば、せめて何らかの書面交付(メール文中でも可)によって、支払に関する約束事を明記しておくことをお勧めします。

 

フリーランスは、自分の身を自分で守る必要があります。不要なトラブルを極力避けるためにも、できる限りの対策は行っていきましょう。